Story

第十話

『立ちはだかる正義』

市内の警察署、謎の集団が盗みに入ったことを男は伝えにやってきた

警察『あなたお酒入ってたんですか?』

男『え?ええ、多少』

警察『困るんですよ、正常な状態で見た事でないと』

男『いや、でも見たんです!怪しそうな奴等が!…』

警察『怪しそうなでしょ?それはあなたの判断でしかない』

男『逃げるように!…』

警察『とにかくね、24時間監視してるカメラの映像見て何でもなかったから大丈夫ですよ、あなた一人映ってましたから。もうそれで良いね?』

男『え!…う、はい…』

警察『じゃあ失礼しますよ』

男が何を伝えても聞いてはもらえなかった
証拠となるものが何もなかった
もちろんこれはダイスが工作したことだが、これを知る者は誰もいない

男『…自分で確かめるか…』

夜、ダイスの車内

No.2『通報?そうか、なら良かった』

No.6『何がだ?』

No.2『自分で確かめに来るなら通報するか?』

No.6『ほう、また来るかもしれんと言っていたな。お前のプロファイリングが役に立たなかったわけか』

No.2『フッ…俺の期待しすぎか…』

No.4『よし!準備万端!』

No.2『No.4はここにいてくれ、万が一誰かに見られた時に頼む。さあ、行こうか』

No.3『おうよ!』

No.2『No.3もだ、あんたはここですぐ出れるように準備しててくれ』

No.3『あ、ああ…』

No.6『廃棄では手に入らない部品がある、それの収穫が目的だ』

No.2『行こう』

No.6『よしいつもの要領でやるぞ!』

No.6とNo.2が車から飛び出ていく
その車内

No.4『…』

No.3『…』

No.4『(彼はちょっと怖いなぁ)…ねぇ?』

No.3『ああ?』

No.4『いや、なんでもない』

No.3『あ?ああ…(カマ臭えなぁ)』

No.4『あの?』

No.3『なんだ?』

No.4『さっきから誰か見てる…』

No.3『何!?』

車の外を見ると男がカメラを持ちながら何かをしている
車に人が乗っていることは気が付かない
見えないようになっているからだ

男『うまく撮れないな、暗すぎる』

No.3『なんてこった!早く言え!!』

No.4『ひいい!』

No.3『大変だ!おい!No.2と6に伝えろ!』

No.4『あああ!わかった!』

No.3が車から降りて男に近づく

男『ん?気付かれた!』

No.3『待て!何を撮影してる!』

男『うあああ!』

男は猛ダッシュでその場を立ち去ろうとする
No.4が連絡を入れる

No.2『何!?』

No.6『お前のプロファイリングは間違ってなかったと言うことだ!』

No.2『追うぞ!』

No.3が男を必死で追いかける

No.3『おらぁ!』

男『うわ!』

No.3『そら!捕まえたぞ!そのカメラをよこせ!』

男『離せ!』

No.3『痛たた!くそ!』

No.2『No.3!』

No.3『逃げられたあっちだ!』

No.2『No.4やれ!』

No.4『うう!うん!そら!』

そこには頼りないNo.4
だが開発した涙の出る薬玉を破裂させる

男『え?なんだ!?…くあ!目が、痛たい…くく!』

No.2『よし!よくやった』

男『お前ら何者だ!』

No.6『とりあえず、そのカメラを渡してもらおう』

男『くそ!目が開かない…!!』

No.3『ガキが!』

No.2『顔が見えるか?』

男『うう、目が痛くて開かない』

No.2『見られていない、No.4実験の成果を』

No.4『そら!』

1分後、辺りには男一人しかいない

男『あれ?さっきまで誰かいたような?あれ?あれ?カメラ?カメラ?!なんで目が痛いんだ!?くっそ~!痛い!』

ダイスの車内

No.2『危なかった、だがこれで顔を突っ込むと危ないという事はわかったはずだ』

No.6『もう来ないと言う事か』

No.3『へへ!さすがに来ないだろ』

No.2『No.3、奴の顔は確認したか?』

No.3『あ?いや、何となくくらいだ』

No.6『バカな!それではこちらから対策の打ちようがないではないか!』

No.3『辺り暗いしよ!このマスク見辛いしよ!こいつが投げた煙で目を抑えてたからわかんねぇだろ!俺に言うな!』

No.2『…まぁ、良い。一番は俺達が見られないことだ』

ダイスのアジト、No.1が出迎える

No.1『どうだった?』

No.4『成功した!1分くらい忘れさせる事が出来たかな?』

No.1『そうか、ご苦労。次の作戦を伝える、準備を同時進行で進めねばならない、まずはこの辺りを実験的に使用する。電波等にこれを設置するんだ』

No.1はアンテナの付いた小型の機械を渡す

No.2『装置の受信機か?』

No.6『そもそも動くのか?』

No.1『ふん、やってみなければわからない。だがこれが無ければ先に進まない』

No.3『了解したぜ!設置場所はどこだ?』

数時間後、男の部屋
男は遅くまで頼まれた映像の編集をしている

男『ああ!眠い!もうこんな時間か、寝るかな』

外から音が聞こえる
普段は物音があまりしない時間

男『ん?何だあいつら?』

暗くてよく見えないが銀色のマスクが鈍い光を反射する

男『あっ!この前奴らを追ってた!なんでこんなとこに?…そう言えばあいつらに何かをかけられたんだ…ちょっとずつ思い出してきた!』

鉄塔の下、作業が少し難航している

No.3『ここか?あれ違うかな?夜じゃ説明書見えねぇな』

No.6『どれ貸してみろ?』

No.4『あの?』

No.6『ん?』

No.4『あ、あれ?』

No.6『ん?なんだあいつは?』

男『おい!あんたら何やってんだ!』

No.3『お前こそ何者だ?』

男『誰だっていいだろ、それより今やってる事が犯罪なら俺は止めるぞ』

No.3『はぁ?やってみろよ!』

男『せやぁ!』

No.3『よっ!っと、おら!』

男『痛た!くそ!でやぁ!』

No.3『おっと、ほら!』

男『ぐふ!』

No.3『へっ!弱いな!』

No.6『帰れ小僧!』

男『うう』

No.6『俺たちは自分たちの仕事をしているだけだ、次に邪魔をするならどうなっても知らんぞ!覚えとけ!行くぞ!』

No.4『そら!』

No.4の恒例の薬玉

男『うう、くっそ~。痛え…なんでこんなとこで寝てんだ?』

翌日、男は大好きな映画を見ていた
以前俳優を目指していた頃を思い出しながら

男『こんな風に立ち回れたらな~?ん?こうかな?久々だからよくストレッチして…』

男は何度やっても太刀打ちできない自分とヒーローとして活動する自分のギャップに葛藤していた
それからは毎日毎晩何かしらのトレーニングを積んでいる

男『こう?…よし!出来た!』

あれから少し時が経ち
ダイスの作戦も準備が整いつつあった

No.1『なぜだ?なぜ動かない?』

No.6『見せてみろ、う~ん。これが壊れてるのか?』

No.1『いや違う、お前の持って来た部品が合わないのだ、俺が直接探しに行く』

工場のある近くの飲み屋

仲間『お疲れ!今日のショーも大成功だな!』

男『いやいや』

仲間『前より動けてたぞ!練習したのか?』

男『えええ、まぁ!』

仲間『よっしゃ!もう一件行こう!』

男『もう止めといた方が良いですよ!タクシー呼びますよ!』

工場の前

No.1『ここか、いつでも出れるようにしておけ』

No.3『おう!』

No.1が内部に潜入する
自身の求める部品を求めて

No.1『ほほう、ここは俺にとって宝の山だな!』

男は仲間をタクシーで見送る
今となっては恒例

男『じゃあ失礼します~!どれ帰るか』

工場内部

No.1『ふふインスピレーションが湧いてくる』

工場の外

男『あれ?またあの車が止まってる?ナンバーは…え?無い?…あいつ、俺を蹴ったやつだ!』

探していた部品を見つけ車に戻る

No.1『よし、欲しいものは手に入った』

男は持っていたバッグからコスチュームを取りだし…

男『今度はそうは行くかよ…ん、…よし!行くぜ!』

No.1『No.3行くぞ、ん?』

No.3『ん?』

No.1『…驚いた、ヒーロー…か?』

そこには新聞で見た真っ赤なコスチュームを纏った男が立っていた