Story

第九話

『闇に紛れて』

ダイスのアジト、No.1は新聞の経済欄を読んでいる

No.1『景気はやや上向き傾向…』

No.2『ん?これはお前が前にいた会社じゃないのか?』

No.1『なに?…随分株価が上がってる』

No.6『半導体関係が好調らしいな』

No.5『半導体って何だ?』

No.6『バカか貴様!今まで一体何を作ってたつもりだ!』

No.4『まぁまぁやめなよ!』

No.3『今さら景気が上向きとか言われてもな…』

No.2『フッ、地方には関係ない』

No.1『…』

No.4『最近よくテレビ何かでも良い兆しが見えるって言ってるよね。』

No.1『ふざけるな!!』

全員『えっ!』

No.1『何が上向きだ…半導体が好調?…そして元の会社の株価がUPだと…普段からロクな報道もせずに散々不景気だと煽り立て、その言葉一つにどれだけの意気を奪われたか!ここで景気が上向きと聞き、どれだけの勇気が湧くか!…だが、その高揚する気分を感じれば感じるほど、なぜ今さらなのだと言いたくなる!…許せん!』

No.2『…ペンは剣より強しか…』

No.1『…かねてより考えてきた作戦を実行に移す…今がその時だ』

No.6『あの設計図のマシンか?』

No.1『そうだ、電波を送信する施設に対し、逆に電波をたどり、そこにいる人間の脳波を操作する』

No.4『全然わからないな~』

No.6『人間の言語中枢を電波を介し刺激する』

No.5『それで何をするんだ?』

No.2『今の流れでわからんのか?…フッ、メディアを利用し情報攻撃を仕掛けるのだ』

No.3『俺たちが奪われたように、やる気を奪ってやるってことか』

No.1『そうだ、我々が人々を操作するなら、今はこのやる気が邪魔だ』

No.6『で、どうする?そう簡単に脳波をいじる電波なんて出せん』

No.1『強力な電波を出している場所があるだろうが、ほぼどこでも受信する超短波』

No.6『VHFだな』

No.5『VHF?』

No.4『テレビだよ!』

No.1『だからこそ言語中枢まで届く波長を送ることが出来る』

No.3『ハッハ!そうか!普段送られて来るものを利用してやるってことか!カウンターだな』

No.6『だがわかってるのか?あの仕組みではかなり大型だ』

No.2『脳波を刺激するには仕方がない』

No.6『ここでしか使えない事に問題がある。小型化を検討し、作戦に幅を持たせるべきだ!』

No.1『何だ貴様、俺の設計にケチ付けるのか!』

No.6『何!作戦がもっとスムーズに進むようにだ!』

No.1『何だ?リーダーにでもなったつもりか!』

No.2『まぁ待て、まずは実行が先だ、No.6、あんたはそれを今すぐやれるのか?』

No.6『いや、時間が必要だ!』

No.2『ならまずはNo.1の設計図で作る、その方が早い』

No.1『製作には時間がかかる、お前の頭脳は借りたい』

No.6『フン!』

No.1『イエスって事だな』

No.2『皆で手分けして材料を集めるんだ』

No.5『おお、なら俺の職場の工場に失敗した部品がかなりあまってる!』

No.6『お前のお陰でな!』

No.5『え!?…』

No.2『別な意味で役にたったか…お前には天職かもな』

No.5『そうか?ハハハハ!』

No.4『誉められてないよ~』

No.5『え!?…う、うん…』

No.2『No.3取りに行くぞ』

No.3『何時だ?』

No.2『深夜2時』

必要な部品の洗い出しが終わり
夜はだんだんと暗くなる
一方では一際賑わいを見せるも場所もあった

男『かんぱーい!皆さんお疲れ様でした!』

仲間『お疲れ、お疲れ!初デビューだからこれからだな』

男『ええ、そうですね!良い名前も見つかったし、これから本格的に動いていきますよ!』

仲間『楽しみだな!頑張ろうな!』

皆『ははははは!』

その頃ダイス達は工場に部品の調達に潜入しようとしていた

No.6『こっちだ』

No.3『おう!』

No.6『バカ!そっちじゃない!』

No.5『痛て!』

No.6『廃棄品じゃないと足がつく』

No.2『廃棄ならば良いんだな?』

No.6『それなら俺が何とでも言える』

No.3『無料回収してくれる業者とか』

No.6『そうだ』

No.3『しかし、こんなゴミ、役に立つのか?』

No.2『役に立つ部分を探すんだ』

No.3『へへ、お前が言うな』

No.2『…』

No.5『…』

No.6『必要な部品リストだ、これならお前にもわかるだろ』

No.5『お、おお!』

No.3『俺にもくれ』

No.2『よし、3時までだ』

一方、二次会まで終わり
お祝いムードも静寂に変わる

男『皆体力あるな~、大丈夫ですか?』

仲間『ああ、大丈夫だ!タクシー呼んでくれ!』

男『…はい』

既に酔っ払い気味の仲間を介抱しタクシーに乗せる
男は酒を飲まないからこんな役目が多い

男『じゃあお気を付けて!…ふぅ、もうこんな時間か…』

男は近所だったため、徒歩で移動
ダイス達は荷渡しを工場の柵越しにしていた

男『ん?…何してんだ?』

No.6『よこせ』

No.5『はい』

No.2『集まったのか?』

No.6『いや、まだ足りないが…』

No.3『おい、見られてるぜ?』

No.2『慌てるな普通にしてろ、その方が良い』

男『ちょっと…あんた達、何してるんだ?こんな時間に?』

No.2『よし、慌てずゆっくり乗れ』

男『あの~?まさか泥棒?』

No.6『出せ!』

No.3『あいよ!』

男『ああ!ちょっと待て!』

車は凄い勢いで消えていった
ナンバーは回転し見ることが出来なかった

No.3『まずいな、見られたか?』

No.2『いや、顔は暗くてわからないはずだ』

No.3『どうする?』

No.2『う~ん、あの状況でお前なら声をかけるか?』

No.5『いや、かけない』

No.3『俺もかけないな』

No.6『また来るって事か?』

No.2『そうだな、そう言うことが出来る男だ、足を捕まれる可能性がある…No.6会社には先手を打っておけ』

No.6『指図されなくてもそのつもりだ』

No.2『フ…次はNo.4を連れてこよう、様子を見る』

次の朝、工場の上司に説明をしている

No.6『私の知り合いの回収業者に頼んでおきました、皆日中は仕事なもんで、昨日酔っぱらいに絡まれたそうで…通報?ああ、多分判断が付かなかったのでしょう…』

男は警察に通報していた
その日の夕方
ダイスのアジト

No.6『全く疲れる』

No.2『どうだった?』

No.6『監視カメラの映像は切り替えておいた、だが説明には多少無理がある、次は押しきれんな』

No.1『ほう、地域活性化のヒーロー?地元も捨てたもんではないな』

No.6『新聞など読んでる場合か!』

No.1『情報は大切だ、世はヒーローが現れる時代か!ハッハッハ!笑える』

No.2『ヒーローか…フッ』